ストレイトストーリー

観た映画:ストレイトストーリー(1999年)

監督:デヴィット・リンチ

主演:リチャード・ファーンズワース
シシー・スペイセク
ハリー・ディーン・スタントン

感想:
私は、とにかく再会のシーンで泣けました。
人との出会い、ふれあいが人の心を大きく変えられること、
素直になれたときに、一番いい思いができることを教えられたかな…
ひねくれた自分の心に、しみわたるストーリーでした。

自分のための覚書:
アルヴィン・ストレイトは、兄のライルが倒れたと聞き、旅に出ると言う。
娘のローズは大反対。腰が悪くて、杖を二本持たないと、歩けないくらい
なのに、500キロ以上も離れたウィスコンシンへ行くと言うのだから…
ローズは、反対しながらも、父の好物のレバーソーセージを大量に買い旅支度を
進める手助けをする。父ストレイトも庭で、なにやらごそごそと旅支度?をしていた。
庭先でしていた作業…それは、ウィスコンシン州に行くための自分の足を
作っていたのだ。その足とは、トラクターを改造した物。ようやく完成し、
旅に出るストレイトだったが、やはり、オンボロのトラクターでは、すぐに
故障をしてしまい、アイオワの町に牽引され戻ることに。
そのときの、仲間の同情?失笑?が笑える。
しかし、ここで諦めるほど、ストレイトの意思は弱くなかった。
トムと言う友人から、全財産の325ドルで新しいトラクターを買いつけ
再度、旅に出るストレイト。
旅の途中で、さまざまな人と出会いふれあう。
その一人目は、ある若い少女。
その子は、若くして妊娠していて、おなかの子の父親に妊娠したことを
伝えることができないと打ち明けた。そんな彼女に、ストレイトは、ローズの話をする。
ローズは少しトロいと、周りの人から言われているけど、ちゃんと家のことも
できるし、何も問題がないと言う。
そんなある日、子供を人に預けたときに、家が家事になりローズは悪くないのに
ちょっとトロいだけで、子供を育てられないと判断されて、子供を奪い取られてしまったんだと話す。
ローズは、片時も子供のことを思わない日はないと…
最後に、木の束の話しをした。1本の木を折るとすぐに折れてしまうけど、
木を束にしたら、なかなか折れないんだと。この束が家族なんだと。
翌朝、少女は、木の束を作って姿を消していた。
次に出会ったのはロードレースの若者達。彼らとの会話の中で、ストレイトは
年をとったメリットとデメリットを教えた。
メリットは、実と殻の区別がつくようになって、細かいことが気にならなく
なったこと。デメリットは、若い頃を覚えていることだ。と。
旅を続けると、今度は鹿をひいてヒステリックになる女性と出会う。とにかく
興奮してまくし立てる女性…その夜、その鹿をご馳走にしたストレイトの背後には、
その鹿の家族が…翌朝、ストレイトのトレーラーに鹿の角飾りが増えていた。(笑)
気分よく旅を続けていたストレイトの目前に、大きな坂が現れる。
どんどん加速するトレーラー。でもブレーキが効いてくれない。死に物狂いで
停めようとするストレイトに神は味方してくれたかのように、無事に転ぶことなく
坂下にたどり着くことができた。坂下では、ちょうど消防隊の訓練を見ていた家族が
心配して、彼の様子を見に来てくれた。ちょうど家主のダニーが、農機メーカーの人で
このトレーラーは、故障しているから直るまで裏庭で野営してくれていいといってくれた。
しばらく滞在していたストレイトに、ダニーは「ウィスコンシンまで半日もあれば行けるから、車で送るよ。」と言う。でも、ストレイトは、決めたことだから
最後までやり遂げたいんだ。と固い意思を伝える。
その日の夜に、お世話になったお礼と明日早朝に出かけることを言い残し
残りわずかな旅に出た。
翌日の野宿は、教会の裏庭。そこでは神父さんに出会う。
神父さんから、ライルの話を聞く。生きているのかと言う問いに、
ここのところ会っていないと言われ、二人の今の状況を話す。
つまらないことで怒り、うぬぼれ、そんなケンカで10年も絶縁してしまい
でも、そんなことはもうどうでもいい。仲直りして、一緒に星を眺めたいと…
翌日、いよいよ再会できる日。ストレイトは禁酒していたのに、朝からミラービールを飲む。
500キロも共にしてきたトラクターと、終焉のときを迎えようとしている。
ストレイトは、トラクターからゆっくりと降り、「ライル!ライル!」と叫んでみた。
中から、10年も絶縁してきた兄ライルが「アルヴィン!」と叫び返してくれた。
二人は、小さな家のバルコニーに無言で腰をかける。ライルが、停まっている
トラクターに目をやり「あれで、来たのか?あれに乗って、俺に会いに来たのか?」と問いかける。
「そうだよ」とアルヴィン。言葉が少なかったけど、その少ない言葉から
お互いを思いやる気持ちが、十分過ぎるほど伝わるラストだった。
二人は、その夜、一緒に星を眺めたことだろう…


© Rakuten Group, Inc.